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幸福の物理

みんなに物理と工作と幸福をお届けするのだァ~!

溶接から見た熱伝導

物理数学 機械工作 熱力学

続・溶接しました!

 石川台地区にある工場でアーク溶接の講習を受けました(二週間ぶり二度目)。
[前回の溶接体験の感想は→溶接、始めました。 - 幸福の物理]
今回はいよいよ金属同士をくっつけることをしました。
さすがに間が空いたので、不安がありました。しかし、溶接のコツを掴んだので、
前回より格段に上手く溶接できたと思います。

f:id:shitaro2012:20140124003631j:plain
Q.なんてかいてあるかな?
※ヒント:└(՞ةڼ◔)」<○○○○だァ~!


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だいぶ使った後の溶接棒。左端と右先端を除く全体が絶縁性のある何かで包まれています。左端の金属むき出し部分を電極に挟み、右先端部を溶接する金属に近づけると放電が始まります。放電により、金属と溶接棒が溶け、溶接されます。

溶接、感じる。

 真っ赤な金属が時間経過によってもとの金属色にもどる。
こころなしか波動関数を感じる。気のせいであろうか。
ならば計算すればいいじゃない、物理だもの。

 ちなみに結果は「Gaussianの積」で表されます。
詳細は以下に書くこととします。

熱伝導方程式を解いてみよう!

 というわけで、アーク溶接したときどのように熱が伝わっていくのかを実際に解いてみましょう。
ただ、私でも計算できるようにとてもとても都合の良い金属板を考えます。

問題設定

 厚さの無視できる無限に広い金属平面にデルタ関数で表される温度を与えるときの温度 \( u(x,y,t) \)を求めます。

 この温度\( u(x,y,t) \)は熱伝導方程式とよばれる次の微分方程式を満たします。
\begin{eqnarray}
\frac{\partial u(x,y,t)}{\partial t}
=
\kappa
\left(
\frac{\partial^2 u(x,y,t)}{\partial x^2}
+
\frac{\partial^2 u(x,y,t)}{\partial y^2}
\right)

\end{eqnarray}
ここで、係数\( \kappa \)は温度伝導率とよばれています。

 この偏微分方程式の初期条件は、時刻 \(t\)で温度が\(f(x,y)\)であると設定します。
つまり、初期条件を
\begin{eqnarray}
u(x,y,0) = f(x,y)
\end{eqnarray}
とします。

フーリエ変換で解ける!

 熱伝導方程式を二次元のフーリエ変換で解きます。

 温度\(u(x,y,t)\)のFourier変換を
\begin{eqnarray}
U(k_{x}, k_{y}, t)
=
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty} \mathrm{d}x \mathrm{d}y
u(x,y,t) \exp(-i(k_{x}x+k_{y}y)
\end{eqnarray}
とします。熱伝導方程式をフーリエ変換すると
\begin{eqnarray}
\frac{\partial U(k_{x}, k_{y}, t)}{\partial t}
=
-\kappa
(k_{x}^2 + k_{y}^2) U(k_{x}, k_{y}, t)
\end{eqnarray}
となります。これは簡単に解けて
\begin{eqnarray}
U(k_{x}, k_{y}, t)
=
F(k_{x},k{y})
\exp[ - \kappa (k_{x}^2 + k_{y}^2)t]
\end{eqnarray}
となります。ここで、\(F (k_{x},k{y}) \)は温度に依存しない関数です。
 
 これを逆フーリエ変換すれば
\begin{eqnarray}
u(x,y,t)
=
\frac{1}{(2\pi)^2}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty} \mathrm{d}k_x \mathrm{d}k_y
F(k_{x},k{y})
\exp[ - \kappa (k_{x}^2 + k_{y}^2)t]
\exp(+i(k_{x}x+k_{y}y)
\end{eqnarray}
となり、したがって熱伝導方程式の一般解が得られました。

 もう少し解を絞り込みます。初期条件より
\begin{eqnarray}
u(x,y,0)
=
\frac{1}{2\pi}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty} \mathrm{d}k_x \mathrm{d}k_y
F(k_{x},k{y})
\exp(+i(k_{x}x+k_{y}y)
=
f(x,y)
\end{eqnarray}
となります。この形はまさしく逆フーリエ変換そのもの!
つまり、\( F(k_{x},k{y}) \)は \( f(x,y) \)のFourier変換表示だったのです。
だから、これをFourier変換をすれば\( f(x,y) \)が
\begin{eqnarray}
F(k_{x},k{y})
=
\frac{1}{2\pi}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty} \mathrm{d}k_x \mathrm{d}k_y
f(x,y)
\exp(-i(k_{x}x+k_{y}y)
\end{eqnarray}
のように表せます。

 これを先ほど導出した一般解に代入すれば
\begin{eqnarray}
u(x,y,t)
=
\frac{1}{(2\pi)^2}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty}
\mathrm{d}v \mathrm{d}w \mathrm{d}k_x \mathrm{d}k_y
f(v, w)
\exp[ - \kappa (k_{x}^2 + k_{y}^2)t]
\exp[+ik_{x}(x-v)]
\exp[+ik_{y}(y-w)]
\end{eqnarray}
となります。

 ここで、デルタ関数フーリエ変換
\begin{eqnarray}
\delta(\omega)
=
\int_{-\infty}^{+\infty}
\mathrm{d} t
\exp(+i\omega t)
\end{eqnarray}
を使って式を整理しましょう。
 Gauss積分
\begin{eqnarray}
\int_{-\infty}^{+\infty}
\mathrm{d} x
\exp(ax^2 + bx)
=
\sqrt{\frac{\pi}{-a}}
\exp
\left(- \frac{b^2}{4a}\right)
\ , \
\mathbb{R}(a) \geq 0 \
\textrm{but}
\ a \neq 0
\end{eqnarray}
と合わせて用いれば、\( u(x,y,t) \)は
\begin{eqnarray}
u(x,y,t)
=
\frac{1}{4\pi \kappa t}
\int_{-\infty}^{+\infty} \int_{-\infty}^{+\infty}
\mathrm{d}v \mathrm{d}w
f(v, w)
\exp
\left[ -\frac{(x-v)^2 + (y-w)^2}{4\kappa t} \right]
\end{eqnarray}
となります。

刹那に温度を与えたら

 アーク溶接の棒が溶接する金属に比べ非常に小さく、また溶接された点での温度が
非常に大きいとき、\( f(x,y) \)はデルタ関数 \( \delta (x,y) \)で近似できます。

 このとき、\( u(x,y,t) \)は
\begin{eqnarray}
u(x,y,t)
=
\frac{1}{\sqrt{2\pi (2 \kappa t)}}
\exp
\left( -\frac{x^2}{2 (2\kappa t)} \right)
\times
\frac{1}{\sqrt{2\pi (2 \kappa t)}}
\left( -\frac{y^2}{2 (2\kappa t)} \right)
\end{eqnarray}
となります。

温度変化は「正規分布」!?

 得られた\( u(x,y,t) \)は \( x,y \)各成分におけるGaussian、もっと正確に言えば
「平均ゼロ、標準偏差\( 2 \kappa t \)の正規分布」の積で表されてます。
時間が経過するにつれて、こう、ファサーって温度が拡がる様子、想像できますね!

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「こう、ファサーって温度が拡がる様子」を描画したもの。ふぁさぁ~。

└(՞ةڼ◔)」<幸福の伝導ゥ~!