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【AdC2015】物理数学:クリストッフェル記号の関係式

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。

 そもそもクリストッフェル記号ってなんだよ、という人はこちらの記事を参照してください。

今日のお題

 次の関係式を導出します。
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 ここで、gは計量テンソル\(g^{\mu \nu}\)の行列式を表します。

 導出には余因子の知識が必要になります。まさかここで余因子を使うことになるとは…。学部1年の頃の、線形代数学の講義を受講していた自分に伝えたいですね。

導出

 適当な大きさの正方行列Aを考えます。行列Aを第i行で余因子展開します。
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ただし、\(\tilde{a}_{ij}\)は行列Aの余因子を表します。

 上式の両辺を\(a_{ij}\)で微分します。
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 この両辺を座標\(x_k\)について微分します。
f:id:shitaro2012:20151210143338p:plain

 余因子行列と逆行列の関係式
f:id:shitaro2012:20151210143423p:plain
を用いると、行列式を座標で微分したものは
f:id:shitaro2012:20151210143500p:plain
つまり
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となります。

 さて、Aを\(g_{\lambda \alpha}\)、det(A)を\(g\)、\((A^{-1})_{ij}\)を\(g^{\lambda \alpha}\)にそれぞれ置き換えれば
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となります。

 これでもうほぼ導出できました。Christoffel記号
f:id:shitaro2012:20151210143810p:plain
の添字について\(\kappa=\lambda\)として縮約をすると
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となりました。これで目的の式が得られました。