haphysics blog - 幸福の物理ブログ

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したろうメモ:テンソル代数(1)

「したろうメモ」とは

したろうメモとは、得た知識を忘れないうちに書き下す覚え書きのことである。

指標と指標の規則

 独立変数をいちいち \( x, y, z \) なんて表すのは面倒。だから独立変数を
\begin{eqnarray}
x_{\kappa} , x^{\kappa} \ ( \kappa = 0,1,2,\ldots, n)
\end{eqnarray}
と表すことにする。変数の右上や右下に書かれているギリシャ文字(この場合は\( \kappa \))のことを指標と呼び、指標を用いて文字を書き表す記法のことを指標記法と呼ぶ。

 以下、ギリシャ文字で表された指標は1から\(n\)まで走るものとする。

 一般的に、独立変数や座標変数は指標を右上に書いた\( x^{\kappa} \)で表される。その方が捗るからである。

 アインシュタイン曰く、総和をいちいち\(\displaystyle \sum_{i=1}^{n} a_{\lambda} x^{\lambda} \)なんて書くのは手が痛くなっちゃう。だから総和を、シグマを省略して
\begin{eqnarray}
a_{\lambda} x^{\lambda}
\end{eqnarray}
って書くことにする。各項に同じ指標があればその指標に関する1から\(n\)までの総和を意味する約束のことをアインシュタインの縮約記法と呼ぶ。

指標の使用例:線形変換

 独立変数\(\boldsymbol{x} = (x^{1}, x^{2}, \ldots, x^{n})\)が行列\(A\)によって変換されたものを\(\boldsymbol{x'} = (x^{1'}, x^{2'}, \ldots, x^{n'})\)と書くことにする。このとき、
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{x'}=A\boldsymbol{x}
\end{eqnarray}
と書ける。具体的に書くならば、 行列\(A\)の成分を\(A_{列番号}^{行番号}\)として
\begin{eqnarray}
\begin{pmatrix}
x^{1'} \\ x^{2'} \\ \vdots \\ x^{n'}
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
A_{1}^{1} & A_{2}^{1} & \cdots & A_{n}^{1} \\
A_{1}^{2} & A_{2}^{2} & \cdots & A_{n}^{2} \\
\vdots & \vdots & & \vdots \\
A_{1}^{n} & A_{2}^{n} & \cdots & A_{n}^{n} \\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x^{1} \\ x^{2} \\ \vdots \\ x^{n}
\end{pmatrix}
\end{eqnarray}
である。これを指標で書けば
\begin{eqnarray}
x^{\kappa'} = A_{\kappa}^{\kappa'} x^{\kappa}
\end{eqnarray}
と書ける。スッキリ!