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【AdC2015】物理数学:リーマン多様体上のラプラシアン

今日のお題

 今回から5日間は次の式の導出に関する話題を取り上げます。
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 この式はリーマン多様体上のラプラシアン(Laplacian)、またはラプラス-ベルトラミ作用素(Laplace-Beltrami operator)と呼ばれています。

 この公式さえ知っていれば、例えば3次元極座標(球座標)のラプラシアンをその場で導出することができます。

導出

 勾配の発散を求めればLaplacianが得られます。

 まず、スカラーの勾配(反変ベクトル)は次の式で与えられます。
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 次に、反変ベクトルの発散を求めます。

 反変ベクトルの共変微分
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※参考

とクリストッフェル記号の関係式
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※参考

を使います。ここで、gは計量テンソル\(g^{\mu \nu}\)の行列式を表します。

 反変ベクトルの共変微分の添字について縮約をする(つまり\(\mu=\kappa\)とする)と
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となります。これが反変ベクトルの発散です。

 最後に、得られた反変ベクトルの発散にスカラーの勾配(反変ベクトル)を代入すると、目的の式が得られます。
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