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【AdC2015】物理数学:測地線方程式とクリストッフェル記号

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。

今日のお題

 今回、導出するのはこの2式です。
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 1つ目はクリストッフェル記号(Christoffel symbol)です。歪んだ空間のオツリを表すものです。

 2つ目は測地線方程式です。リーマン空間内に属する2点間の最短経路を表す曲線が従う方程式です。

導出

 2点A,Bの間の最短経路を求めればいい。そう、変分法の出番である。

 あるRiemann空間内の微小距離\(\mathrm{d}s\)は、計量テンソルを用いて次のように書けるのでした(計量テンソルの定義式)。
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 2点A,B間の距離sは積分を用いて次のように書けます。
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 ここで曲線パラメータtを導入して書き直すと、次のように式変形できます。
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ただし、\(\dot{x}\)はxのt微分\(\mathrm{d}x/\mathrm{d}t\)を表します。

 さて、2点間距離sを最小とする\(x^\mu\)が従う方程式を変分法で導出しましょう。Lagrangianを
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として、Euler-Lagrange方程式
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に代入します。
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より、Euler-Lagrange方程式は次のようになります。
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 ここで、仮に曲線パラメータを\(\mathrm{d}t/\mathrm{d}s \neq 0\)となるように選べば
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 この式の両辺に計量テンソル\(g^{\kappa \alpha}\)をかけて\(\alpha\)について縮約します。
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 つまり
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 ここで
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とおけば、求めたかった方程式が得られます。
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 この方程式は測地線方程式と呼ばれ、Riemann空間内にある2点間距離が最小となるような曲線を与えます。また
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Christoffel記号と呼びます。

Christoffel symbolの性質

 Christoffel記号は、自身の下二つの添字に対して対称です。
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 これはChristoffel記号の定義式から自明です。