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幸福の物理

みんなに物理と工作と幸福をお届けするのだァ~!

【AdC2015】流体力学:連続の方程式

Advent Calendarというものを始めてみた。

 今日からクリスマスまでブログを更新し続ける、アドベントカレンダーというものがあると聞いて、早速はじめました。www.adventar.org

 実はロボット技術研究会でもアドベントカレンダーをやっています。というか誘われたのがきっかけで幸福の物理アドベントカレンダーを作りました。www.adventar.org

Advent Calendarの方針

 今復習している分野のメモ書きをアドベントカレンダーとしてブログに綴ろうと思っています。学部で習った物理学をかなり忘れてしまっているので、丁度いい機会かなあと。

 間違いなんかがあったら指摘してください。議論乱闘大歓迎。

今日のお題

 流体力学を今復習しています。学部3年前期で習ったはずですが、もう忘れてしまいました。しかし、研究室に所属してからやたらめったら流体力学に触れます。そろそろ知らないとマズイので今復習しているわけであります。

 今日は完全流体の運動を記述する3つの方程式の一つ、連続の方程式についてメモを残そうと思います。

連続の方程式とは

 連続の方程式とは保存則の一つである質量保存則を表す方程式です。質量密度を\(\rho(\boldsymbol{x}, t)\)、速度場を\(\boldsymbol{v}(t)\)とすれば、流体における連続の方程式は次のように表されます。
\begin{align*}
\frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t)) = 0
\end{align*}

 左辺第一項はある領域内の質量密度変化、左辺第二項はある領域へ流入する流束を表します。

 連続の方程式は流体力学に限らず、例えば電磁気学でも現れます。電荷密度を\(\rho(x,t)\)、電流密度ベクトルを\(\boldsymbol{i}(\boldsymbol{x}, t)\)とすれば、電荷における連続の方程式は次のように表されます。
\begin{align*}
\frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \nabla \cdot \boldsymbol{i}(\boldsymbol{x},t) = 0
\end{align*}

 電磁気学ではこの連続の方程式は電荷保存則を表します。

連続の方程式の導出

方針

 連続の方程式の導出では、質量保存則を表す次の等式を満たすように式を組み立てます:

(単位時間あたりの流体の質量の増加量) = (単位時間に流入する流体の質量の総量)

単位時間あたりの流体の増加量

 流体の密度場を\(\rho(\boldsymbol{x}, t) \)と表すことにする。空間に体積\(V\)の領域を任意にとり固定する。

 このとき\(V\)内部の微小体積\(\mathrm{d}V\)中の流体の質量は
\begin{align*}
\mathrm{d}V \rho(\boldsymbol{x}, t)
\end{align*}
と表せる。

 固定された領域\(V\)全体に含まれる流体の質量\(M\)は、微小体積中の流体の質量を領域全体で足し合わせればよく
\begin{align*}
M(t) = \int_V \mathrm{d}V \rho(\boldsymbol{x}, t)
\end{align*}
と表せる。

 ここで単位時間あたりの領域\(V\)全体に含まれる流体の質量\(\mathrm{d}M/\mathrm{d}t\)を考える。領域\(V\)は固定されているから、\(M(t)\)の時間全微分は時間偏微分になる。
\begin{align*}
\frac{\mathrm{d}M(t)}{\mathrm{d}t} = \frac{\partial M(t)}{\partial t} = \int_V \mathrm{d}V \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t}
\end{align*}

 よって単位時間あたりに領域\(V\)全体に含まれる流体の質量の増加量\(\mathrm{d}M/\mathrm{d}t\)は求まった。

単位時間に流入する流体の総量

 領域表面から、領域表面に垂直な方向に流入する流体の全質量を求めればよい。

 領域\(V\)の表面\(S\)に微小面積\(\mathrm{d}S\)をとる。領域\(V\)に対して外向きを正の方向*1にとった、微小面積の法線ベクトルを\(\boldsymbol{n}\)とする。単位時間あたりに微小面積\(\mathrm{d}S\)を通過して領域\(V\)の外へと流出する流体の質量は
\begin{align*}
\mathrm{d}S \boldsymbol{n} \cdot (\rho \boldsymbol{v})
\end{align*}
と表せる*2

 単位時間に領域\(V\)から流出する流体の全質量は、微小面積を通過する流体の質量を領域表面で足し合わせればよく
\begin{align*}
\int_S \mathrm{d}S \boldsymbol{n} \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t))
\end{align*}
と表せる。

 Gaussの定理より、単位時間に領域\(V\)から流出する流体の全質量は
\begin{align*}
\int_S \mathrm{d}S \boldsymbol{n} \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t))
= \int_V \mathrm{d}V \nabla\cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t))
\end{align*}
となる。

 単位時間に領域\(V\)から流出する流体の全質量とは、単位時間あたりに領域\(V\)全体に含まれる流体の質量の減少量に他ならない。よって、単位時間あたりに領域\(V\)全体に含まれる流体の質量の増加量を表すためには単位時間に領域\(V\)から流出する流体の全質量にマイナスをつければよい。よって次の等式が成立する。
\begin{align*}
\int_V \mathrm{d}V \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t}
= -\int_V \mathrm{d}V \nabla\cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t))
\end{align*}

 Gaussの定理によって面積分を体積分に変換したため、左辺を右辺に移項してまとめることができる。
\begin{align*}
\int_V \mathrm{d}V \left( \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \nabla\cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t)) \right) = 0
\end{align*}

 領域\(V\)のとり方は任意であった。よって、任意の領域に対して積分が常にゼロであるためには被積分関数がゼロでなければならない。
\begin{align*}
\frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t)) = 0
\end{align*}

 こうして連続の方程式は導かれた。

非圧縮

 質量密度が時間に対して不変な一定値である流体を(広義)非圧縮流体と呼ぶ*3

 非圧縮性を表す関係式は
\begin{align*}
\nabla \cdot \boldsymbol{v} = 0
\end{align*}
であることが知られています。

 ここでは、先ほど導出した連続の方程式から非圧縮性を仮定することで、この関係式が得られることを示します。

導出

 連続の方程式の左辺第二項を展開すると
\begin{align*}
&\nabla \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t)) \\
&= \partial_i (\rho \boldsymbol{v})_i \\
&= \partial_i (\rho v_i) \\
&= v_i \partial_i \rho + \rho \partial_i v_i \\
&= \boldsymbol{v}(t) \cdot \nabla \rho(\boldsymbol{x}, t) + \rho(\boldsymbol{x}, t) \nabla \cdot \boldsymbol{v}(t)
\end{align*}
となる。

 一方、質量密度\(\rho(\boldsymbol{x}, t)\)のLagrange微分
\begin{align*}
\frac{D}{D t}\rho(\boldsymbol{x}, t)
= \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \boldsymbol{v}(t) \cdot \nabla \rho(\boldsymbol{x}, t)
\end{align*}
である。

 よって、連続の方程式から
\begin{align*}
&\frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho(\boldsymbol{x}, t) \boldsymbol{v}(t)) \\
&= \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \boldsymbol{v}(t) \cdot \nabla \rho(\boldsymbol{x}, t) + \rho(\boldsymbol{x}, t) \nabla \cdot \boldsymbol{v}(t)\\
&= \frac{D}{D t}\rho(\boldsymbol{x}, t) + \rho(\boldsymbol{x}, t) \nabla \cdot \boldsymbol{v}(t)\\
&= 0
\end{align*}
すなわち、連続の方程式の別の表示
\begin{align*}
\frac{D}{D t}\rho(\boldsymbol{x}, t) + \rho(\boldsymbol{x}, t) \nabla \cdot \boldsymbol{v}(t) = 0
\end{align*}
が得られる。

 ここで非圧縮性を仮定する。すなわち、質量密度\(\rho\)が時間に不変な一定値であると仮定する。このとき
\begin{align*}
\frac{D}{D t}\rho(\boldsymbol{x}, t)
= \frac{\partial \rho(\boldsymbol{x}, t)}{\partial t} + \boldsymbol{v}(t) \cdot \nabla \rho(\boldsymbol{x}, t) = 0
\end{align*}
となるから、連続の方程式は
\begin{align*}
\nabla \cdot \boldsymbol{v}(t) = 0
\end{align*}
と表される。

 こうして、非圧縮性を表す関係式が得られた*4

AdCはこんな感じで…

 AdC一日目はこれで終わりです。こんな感じで、自分が復習しているものをメモする感じで書きたいと思います。はたして毎日更新はできるのか?

└(՞ةڼ◔)」<幸福の始まり始まりィ〜!

*1:流出は正、流入は負を表す。

*2:\(\boldsymbol{n}\cdot\boldsymbol{v}\)は単位時間あたりに微小面積\(\mathrm{d}S\)を通過する流体の、微小面積\(\mathrm{d}S\)からの高さを表すから、\(\rho\boldsymbol{n}\cdot\boldsymbol{v}\)は単位時間あたりに微小面積\(\mathrm{d}S\)を通過する流体の体積を表す。よって、この体積に質量密度\(\rho\)をかければ単位時間あたりに微小面積\(\mathrm{d}S\)を通過する流体の質量となる。

*3:密度の空間一様性を条件に加えたものは、狭い意味での非圧縮の定義である。

*4:ここでは空間一様性を仮定していないことに注意。