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幸福の物理

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【第一回】Fraunhofer回折のための数学 ~Greenの定理~

物理数学

Fraunhofer回折の導出のために……

今週行われた第一回rogyゼミで、私はFraunhofer回折の解説をしました。
第一回rogyゼミ ~プレゼンを、プレゼント~ - 幸福の物理
そのなかで「このブログ内で詳細を書こうと思っています。」とブログにも書いたし、プレゼンの中でも言ったので、Fraunhofer回折の導出を書こうと思います。

という訳で、この記事は第一回Fraunhofer回折のための数学として、導出の導出に欠かすことのできない道具、Greenの定理を紹介します。

Greenの定理

Greenの定理とは、以下のような定理です:
f:id:shitaro2012:20131228004225p:plain

つまり、Greenの定理とは「\(\nabla^2 \)を含む体積分を面積分に落とす」ための道具です。

証明

出発はGaussの定理から!

Gaussの発散定理の定理とは以下の通りでした:
ベクトル関数 \( \boldsymbol{A} \)に対して
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3x
\nabla \cdot \boldsymbol{A}
=
\iint_{S} \mathrm{d}S
\boldsymbol{n} \cdot \boldsymbol{A}
\end{equation*}
が成立します。ここでベクトル \( \boldsymbol{n} \)は閉曲面 \( S \)の内部から外部へ向かう単位法線ベクトルです。

Greenの定理を導くためには、このGaussの発散定理において、ベクトル関数 \( \boldsymbol{A} \)として
\begin{equation*}
\boldsymbol{A}
=
\psi \nabla \phi
\end{equation*}
とおくことがポイントです。ここで \( \psi, \phi \)はともに、あるスカラー関数です。

さて、この二つのスカラー関数を用いて表されたベクトル関数をGaussの発散定理に代入すると
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3x
\nabla \cdot \left( \psi \nabla \phi \right)
=
\iint_{S} \mathrm{d}S
\boldsymbol{n} \cdot \left(\psi \nabla \phi \right)
\end{equation*}
となります。

式変形~右辺~

右辺を式変形します。スカラー関数 \(\psi\) の勾配 \(\nabla \psi \)において、その法線成分を
\begin{equation*}
\frac{\partial \psi}{\partial n}
\end{equation*}
と表すことにします。この表記の仕方は、例えば電磁気学や光学でよく見ます。慣れておいた方がいいのかもしれません。

さて、この表記に従えば、Gaussの発散定理の右辺は次のように式変形ができます:
\begin{align*}
\boldsymbol{n} \cdot \left(\psi \nabla \phi \right)
=&
\psi \boldsymbol{n} \cdot \left(\nabla \phi \right)
=
\psi \frac{\partial \phi}{\partial n}

\end{align*}

式変形~左辺~

ベクトル解析の公式を用いれば
\begin{equation*}
\nabla \cdot \left( \psi \nabla \phi \right)
=
\psi \nabla^2 \phi + \left(\nabla \psi \right)\left(\nabla \phi \right)
\end{equation*}
となります。もちろん、公式を知らなくても計算すれば同じ結果を得ることができます。

Finale

各辺についての式変形によって、始めのGaussの発散定理は次のようになりました:
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3x
\left(
\psi \nabla^2 \phi
+ \left(\nabla \psi \right)\left(\nabla \phi \right)
\right)
=
\iint_{S}\mathrm{d}S
\psi \frac{\partial \phi}{\partial n} 。
\end{equation*}
この式と、この式の \( \psi, \phi \)を入れ替えて得られる式
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3x
\left(
\phi \nabla^2 \psi
+ \left(\nabla \phi \right)\left(\nabla \psi \right)
\right)
=
\iint_{S}\mathrm{d}S
\phi \frac{\partial \psi}{\partial n}
\end{equation*}
の辺々を引くとGreenの定理
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3 x
\left(
\psi \nabla^2 \phi
- \phi \nabla^2 \psi
\right)
=
\iint_{S}\mathrm{d}S
\left(
\psi \frac{\partial \phi}{\partial n}
- \phi \frac{\partial \psi}{\partial n}
\right)
\end{equation*}
が得られます。

まとめ

つまり、Greenの定理を得るためにはスカラー関数とスカラー関数の勾配の積にGaussの発散定理を用いればよいのです。

補足

法線ベクトルを逆向きにとる場合を考えましょう。つまり、閉曲面\(S\)の外部から内部へ向かう単位法線ベクトルを \(\boldsymbol{n'}\) とすると\(\boldsymbol{n} = -\boldsymbol{n'}\)です。だからGaussの発散定理の右辺の符号は逆になります:
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3x
\nabla \cdot \boldsymbol{A}
=
-
\iint_{S} \mathrm{d}S
\boldsymbol{n'} \cdot \boldsymbol{A}
\ 。
\end{equation*}
したがって、Greenの定理の右辺の符号も逆になります:
\begin{equation*}
\iiint_{V}\mathrm{d}^3 x
\left(
\psi \nabla^2 \phi
- \phi \nabla^2 \psi
\right)
= -
\iint_{S}\mathrm{d}S
\left(
\psi \frac{\partial \phi}{\partial n'}
- \phi \frac{\partial \psi}{\partial n'}
\right)\ 。
\end{equation*}
この、内向きの法線ベクトルを用いたGreenの定理はしばしば光学の回折に
おける証明に用いられます。


これでGreenの定理が手に入ったね!└(՞ةڼ◔)」<幸福だァ~!