haphysics blog - 幸福の物理ブログ

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幸福の物理、始動!?

つくるもの、決まった!

ついに制作物が決まりました。
それは…Helmholtzコイルだ!f:id:shitaro2012:20131205001708j:plain
図1.決意表明。

Helmholtzコイルって?

 一言でいうと「一様磁場をつくる装置」―――。

 よく物理の問題では摩擦を無視したり真空中であると仮定したりなど、あたかも当たり前のように仮定する“合言葉”はどれも実現するのが難しい。その“合言葉”の一つである一様な磁場を簡単につくることができるのがこのHelmholtzコイルなのです。
 作り方は簡単で、二つの同じ大きさの一巻きコイルを同軸上にコイルの半径だけ離して設置して同じ方向に同じ大きさの電流を流すだけ。すると二つの一巻きコイルの間の磁場はほぼ一定になります。
 どうしてそうなるのか。以下、その理由を述べます。

輪っかがつくる磁場

 Helmholtzコイルの原理を理解するためのポイントはただ一つ、「輪っかのつくる磁場」です。
 半径 aの一巻きコイルに電流Iが流れているとき、コイルの中心から距離がxである中心軸上の点につくる磁場 B(x)は、例えばBiot-Savartの法則を使って


 \begin{equation*}
B(x) = \frac{\mu_0 I a^2}{2} \frac{1}{(a^2+x^2)^{3/2}}
\end{equation*}
と求められます。

Helmholtzコイルの満たす条件

図のように半径 aの一巻きコイルが2個同軸上にあって、それぞれ同じ向きに電流Iが流れているとします。
このとき点 xの磁場の大きさは、さっき求めた答えを利用すれば



\begin{equation*}
 B(x) = \frac{\mu_0 I a^2}{2} 
 \left\{ \frac{1}{(a^2 + (b+x)^2)^{3/2}} + \frac{1}{(a^2+(b-x)^2)^{3/2}} \right\}
\end{equation*}
となります。この磁場を原点でTaylor展開して、この磁場が原点付近でほぼ一定になるために必要な abの条件を求めます。偶関数であることから、奇数次項はゼロであることを考慮してTaylor展開すると


\begin{equation*}
 B(x) = \frac{\mu_0 I a^2}{2} (a^2+b^2)^{-3/2} 
 \left\{ 2 - \frac{3(a^2-4b^2)}{(a^2+b^2)^2}x^2 + O(x^4) \right\}
\end{equation*}
となります。よって、ab


\begin{equation*}
a=2b
\end{equation*}
という関係が成り立っていれば2次の項が消えて、xに依存する最初の項はx^4の項
であることが分かります。
 これより、二つの同じ大きさの一巻きコイルを同軸上にコイルの半径だけ離して同じ方向に同じ大きさの電流をそれぞれ流すと二つの一巻きコイルの間の磁場はほぼ一定になることになります。

f:id:shitaro2012:20131205001245p:plain
図2.Helmholtzコイルの概形。

なんでつくるの?

 一様磁場を使った実験を2つほど思いついたからです。
はやく実験してみたいですねぇ。

もっと工夫の余地がある?

・どうして円形なのか?三角形でもいいじゃない。正方形だったら作るのが楽でありがたいのだけど。
・2個以上のコイルを配置するとき、どう置けば効率が向上するのか?▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂←例えばこんな感じで半径を少しずつ変えて並べるといいのかしら。

・・・などなどまだまだ疑問と工夫の余地がおおありです。しばらくはシミュレーションをして研究するつもりです。

└(՞ةڼ◔)」<幸福だァ~!