haphysics blog - 幸福の物理ブログ

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大学を卒業したから、学部4年間を振り返ってみたゾ!

須臾にも感じる4年間

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今日、卒業しました。

これで、学部レベルの物理学は修めたことになります。本当かなぁ……。
まあ、物理学の世界は宇宙みたいに広いのでもっともっと前に進みたいです。

思い返せば、学部時代は技術を身につけた4年間でした。
大学に入学してから初めて知った、
プログラミング、電子工作そして機械工作の技術、および知識を
ゼロからある程度まで習得できたと思います。

当然ですが、私の好奇心はこの程度では満たされません。
これからも自分の欲望のままに、作品を手がけていければなあと思っています。

これまでをちょっとだけ振り返ってみる

電子工作

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【AdC2015】物理数学:特異点の使い道とフックスの定理

今日のお題

 以前、微分方程式特異点を分類しました。

 ところでなぜ、微分方程式級数展開で解くのに確定特異点を調べるのでしょうか。始めから級数微分方程式に代入してはいけないのでしょうか。

 結論から言うと、そもそも級数解が存在するかを保証するフックスの定理を使うためなのです。

フックス(Fuchs)の定理

 微分方程式のある点aが特異点でない(通常点と呼ぶ)、あるいは確定特異点であるならば、その点aの周りで展開した級数を少なくとも1つ解に持つ。

 予め展開したい点が最悪でも確定特異点であるかを調べれば、苦労して計算した級数解が本当に微分方程式の解であると言えるわけですね。

【AdC2015】物理数学:級数展開の一意性

今日のお題

 二階常微分方程式
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を解く方法の一つとして、級数解法(フロベニウスの解法)があります。

 この方法は、関数が級数展開によって記述できることを利用したものです。つまり、解が
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の形でかけると仮定し、微分方程式を満たすように係数を決定する方法です。

 この解法で個人的に気になっていたのが一意性です。一つの関数に対してその級数展開はいろいろありそうじゃないですか。今回示すのは、その心配は必要ないというものです。

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【AdC2015】物理数学:特異点の分類

今日のお題
 以前、ベッセル関数を扱った時に久しぶりに級数解法(フロベニウスの解法)を使いました。

 学部2年の時に、たくさんの二階常微分方程式に対して級数解法をするレポート課題を解きました。そのため、計算は体が覚えていました。しかし、用語までは覚えていませんでした。

 ここでは級数解法で登場する確定特異点の定義を再確認します。

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【AdC2015】物理数学:測地線方程式とクリストッフェル記号

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。

今日のお題

 今回、導出するのはこの2式です。
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 1つ目はクリストッフェル記号(Christoffel symbol)です。歪んだ空間のオツリを表すものです。

 2つ目は測地線方程式です。リーマン空間内に属する2点間の最短経路を表す曲線が従う方程式です。

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【AdC2015】物理数学:クリストッフェル記号の関係式

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。

 そもそもクリストッフェル記号ってなんだよ、という人はこちらの記事を参照してください。

今日のお題

 次の関係式を導出します。
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 ここで、gは計量テンソル\(g^{\mu \nu}\)の行列式を表します。

 導出には余因子の知識が必要になります。まさかここで余因子を使うことになるとは…。学部1年の頃の、線形代数学の講義を受講していた自分に伝えたいですね。

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【AdC2015】物理数学:クリストッフェル記号の変換式

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。

 そもそもクリストッフェル記号ってなんだよ、という人はこちらの記事を参照してください。

今日のお題

 クリストッフェル記号の変換式
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を導出します。この変換式は共変微分係数の導出に用いた重要な式でした。

※参考

他の計算にもしばしば用いられる式なので有用性は高いです。

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【AdC2015】物理数学:反変ベクトルの共変微分

はじめに

 この記事はシリーズ「リーマン多様体上のラプラシアンを求めよう」の一つです。ラプラシアンの導出も合わせてお楽しみください。shitaro-happy-physics.hatenablog.jp

今日のお題

 歪んだ空間での微分、共変微分の式
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を"導出"します*1

 真っ直ぐな空間では平行移動は簡単です。ベクトルの各成分をそれぞれ同じ値に保ったまま移動すればいいのですから。一方、歪んだ空間では平行移動すると基底が変化してしまいます。この基底が変化することを成分の変化に押し付けたのが共変微分係数の式のクリストッフェル記号に表れているのです。

*1:共変微分係数の定義式なので、「導出」という言葉は不適切な気もする。

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